
ブログではレザーパーツの作製や革製品の修理をご紹介することが多いですが、ナイロン製品をはじめ、ファブリックの製品の修理お問い合わせもたくさんいただいております。
今回はバレンシアガの定番バックパックの修理をご紹介します。
上画像、ビフォーを取り忘れのため、いきなりアフターですが。
風防のステッチラインでファスナーが縫い止まっている構造になっていますね。この構造、きれいに仕上げるのが意外と難しいんです。ナイロン製品は素材が繊細なため、解体修理は少しコツが必要です。再縫製は基本的に電動ミシンによる縫製となるため一発勝負です。

風防をめくりあげるとこのように、元通りの縫製工程により再現できていることが分かりますね。

裏地が元通り袋縫いになっており、ファスナーの歪みも最小限に抑えられているかと思います。ぱっと見ただけだと解体されてファスナー交換したこともわからないレベルかと思います。
上下(左右というべきか)のファスナーテープの縫製構造が異なるデザインのものは、部分解体による交換修理を行うと歪みが生じやすく、ファスナーテープは構造上、左右のテープの縫製に少しでも歪みが生じると、スライダーを滑らせ開閉したときにテープに負荷がかかってしまいます。交換修理をしたのにすぐにテープが裂けた、、という相談も実は結構多いんです。

ファスナーテープがきれいに均等なラインで顔をのぞかせている状態がベスト。バックパックの緩やかなカーブの形状に逆らわず、きれいに取り付けできました。本体が大きくたわんでいるとファスナーテープも若干つられてしまいますが、たわみがあるとスライダーがテープに負荷をかける原因となりますからできるだけピシッと仕上げる工夫をしてやります。